賀茂地区在宅医療・介護連携推進支援センターでは、医療・介護連携推進事業の一環として、医療従事者の情報共有並びに研修の支援を目的に勉強会を開催しております。

賀茂地区では、過疎化や高齢化が全国に先駆けて一段と進み、在宅医療に向けた医療資源が不足する状況下において、地域に暮らす高齢者・家族が自身の意向に沿い、人生の終末期を自宅で過ごし最期を迎えることは大変に困難な状況です。この課題に対して少しでも住民の方の思いを実現すべく、平成29年に国が策定した「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」に沿い、遠隔での死亡診断を行う医師をサポートする看護師育成に向けた勉強会を9月29日に開催いたしました。訪問看護ステーション、病院、介護施設、行政保健師、在宅看護師の方々に参加を呼びかけたところ、41名の方にご参加頂き、関心の高さが伺えました。

このガイドラインにおいては、医師による遠隔での死亡診断をサポートする看護師は、「法医学等に関する一定の教育」研修を受けなければならないとされており、平成29年からこの研修制度が始まりました。同ガイドラインに基づく死亡診断は、現在全国でも2症例しか実現していないハードルが高いものではありますが、当賀茂地区では介護老人福祉施設みくらの里において今年4症例、遠隔による死亡診断による看取りを実施し、現在厚生労働省において検証中であります。

【講師 鈴木 雅世 様】

当日の勉強会は、みくらの里看護師の鈴木雅世様より①研修会の内容について、②研修終了後から実践の過程、③実施手順、④実践後の報告、事例検討会について、など講義を行って頂き、併せて死亡診断に関する医師法第20条や20条ただし書を中心とした法解釈について情報共有を図りました。

勉強会後のアンケートでは、約1/4の方が今後ガイドラインに定められた研修に参加を検討されるとの結果でした。

当支援センターでは、5年後を一つの目標として中期的スタンスで、同研修を履修された看護師を増やすこととしており、賀茂医師会とも情報共有・協働を図り、所属されている施設の垣根を超えた「医師による遠隔での死亡診断をサポートする看護師」のチームが構成できるよう取り組んでまいりたいと考えております。