体験談から見る!もしもの災害発生時における「シズケア*かけはし」の具体的な活用事例

~「シズケア*かけはし」で連携をとり、災害時の被災者の支援につなげる~

<事 象> 熱海市伊豆山土石流災害

2021年7月3日午前10時半ごろ、降り続く長雨の影響により、静岡県熱海市の伊豆山赤井谷の逢初(あいぞめ)川で土石流が発生。この土石流災害により、多くの方の尊い命が犠牲となり、避難を余儀なくされた伊豆山地区の住民は最大約580人にも上った。

<活用事例> 災害時に「シズケア*かけはし」を活用した熱海市職員の体験談

▼Pick up 01:【掲示板機能】

1.|発災翌日より被害状況などの情報発信に活用|
発災翌日の7月4日より被害状況などを、シズケア*かけはしの『掲示板機能』を利用し登録施設へ発信
・ 避難所、給水所、配食サービス、災害ボランティア、通行止めなどインフラ情報
・ 医療機関の受診や薬の配布方法
・ 介護保険施設の受け入れ可能な空き状況
※行政だけではなく、医療機関や介護保険事業所も、被災地の状況や情報提供を掲示板で随時発信

2.|熱海市(行政)の初動対応の支援に役立った|
シズケア*かけはしの『掲示板機能』を使い、介護事業所が被害や避難の状況をリアルタイムで知ることで、自力避難できずに被災住宅に留まっていた高齢者を早期に把握することができ、結果として市から「自衛隊や警察に救助を依頼」することができた。

3.|被災した方々への介護サービス継続や支援に繋がった|
いくつかの介護事業所が大きな被害を受けた伊豆山地域にあり、電話・FAXが使えず、事業所のおかれた状況を市内の他の事業所に知らせる術がなかった中で、シズケア*かけはしの『掲示板機能』を使い同地域の事業所の被災状況を随時掲載することで、居宅介護支援事業所や他の事業者から連絡が入り、被災した方々の介護サービス継続や支援に繋がった。

4.|医療機関を受診できない在宅避難者への支援に繋がった|
通行止めが長期にわたったため、在宅避難者が医療機関を受診できない事態に。その状況を踏まえ医師会・薬剤師会と協議後、「電話診療→医療機関が薬局にFAX→薬局が自宅へ薬を届ける」仕組みをつくり、避難者にこの方法を伝える手段として、シズケア*かけはしの『掲示板機能』を利用。掲示板を見たケアマネや訪問事業者から、在宅避難者に伝達してもらい早期の対応が可能に。

▼Pick up 02:【セキュアメール機能】

1.|避難所での薬の手配に役立った|
避難所で入手した、避難者の常用薬などの薬剤情報(メモの写真)を、シズケア*かけはしの『セキュアメール機能』で薬局に送り、薬の手配を依頼した。

.|帰宅した方で在宅生活が不安な方の見守りに活用|
被災地伊豆山地域のほぼ全域が停電となり、そして長期間にわたる停電となった。電気が普及するとともに、自宅が無被害の方の帰宅が徐々に始まったが、帰宅した方で在宅生活が心配な方は、シズケア*かけはしの『セキュアメール機能』も活用しながら関係者間で連携をとり見守りをおこなった。

<まとめ>

今回、災害時における「シズケア*かけはし」の『掲示板機能』や『セキュアメール機能』は、伝達方法が限られている中で、必要な情報を届けられる有効な手段のひとつであるということを実感することができた。(※電話・FAXが使えなくても、ログインできる端末(携帯・タブレット・PC)があれば、掲示板の閲覧及び送付、またセキュアメールなどシステムの利用が可)

発災後の様々な局面において「シズケア*かけはし」を活用し、多職種の関係者間で相互に連携をとりつつ(行政・医療機関・薬局・介護支援事業所など)情報を共有することにより、行政だけではつかみきれない細かな被災状況を把握することができた。そして、得られた情報をもとに、熱海市(行政)がいち早く情報を集約することによって、独居高齢者の多い熱海市で混乱を最小限にとどめながら、被災された住民の継続的な支援や協力へと繋がった。

また、システムで情報を共有することにより、ひとりでなく「みんなで力を合わせて乗り越えていこう!」という支え合いの関係・心のつながりを感じられたという点も、特に災害時には非常に重要なことかもしれない。

災害時における支援活動を迅速かつ円滑に実施するためのひとつのツールとして、「シズケア*かけはし(地域包括ケア情報システム)」をさらに有効活用できるよう、より一層普及啓発に努めてまいります。

亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災地域の一日も早い復旧と復興をお祈り申し上げます。