シズケアサポートセンターでは、在宅医療未経験または経験の浅い医師を対象とした「在宅医療スタート研修(入門編)」、入門編受講者・修了者へのフォローアップ、また、日頃より在宅医療を行う医師のスキルアップを目的とした「在宅医療スタート研修(実践編)」を実施しています。今年度の実践編が11月29日(土)に開催されました。
今回の研修では、昨年度の入門編受講者の関心が最も高かった「がんの疼痛管理」をテーマとして取り上げ、緩和医療に携わる医師からの講義に加え、在宅医療に携わる医師から手技獲得のための実習を行うこととしました。

講師のお一人、まずは聖隷三方原病院緩和支持治療科部長でがんサポートセンター長の 森 雅紀 医師による「がん疼痛の評価と治療」についての講義がありました。問診と身体診察で痛みの病態を把握する方法や、がん疼痛治療の「基本形」を意識することの重要性、また終末期の患者さんへの輸液管理についてなど、これからの診療にすぐに役立つお話がありました。

聖隷三方原病院 緩和支持治療科部長 がんサポートセンター長 森 雅紀医師

その後、もう一人の講師、磐田在宅医療クリニック院長の 福本 和彦 医師による、持続皮下注射の基本的手技と輸液ポンプ(CADD)を用いた疼痛管理のミニレクチャーと、手技のデモンストレーションが行われました。輸液ポンプとは、点滴を一定の速度で持続的に投与する際に必要な医療機器のことです。実習支援においては、訪問看護ステーション細江の 難波 美貴 看護師にも協力していただきました。県下全域から参加した医師たちは、熱心にその様子を観察し、その後、各自準備されたモデルを用いて点滴に見立てた実習用の液体をつなげたり、参加者同士協力しながら薬剤に見立てた実習用の液体を輸液ポンプにセットするなどの実習に臨みました。

磐田在宅医療クリニック 院長      福本 和彦 医師

 

調合した実習用の薬液をカセットに充填し、ポンプを起動するための手順を確認していきます

県下全域を対象とする在参加した医師からは、「大変有意義な実習だった」「在宅医療のイメージができた」という声が聞かれました。

在宅医療を担う診療所の医師のための研修において、講義と実技を同時に体験できる本研修は、全国的にも数少ない先駆的取り組みでもあります。今回は現場で役立つ知識や技術を提供するために、講義と実習のすり合わせを行ったり、皮膚のイメージを再現するモデルを手作りして試したりと、何度も講師と打ち合わせを重ねて準備を進めました。これからも「また来年も自分の腕を磨いて患者さんに還元するため、この研修参加を楽しみにしています」という医師たちに向けて、有意義な自己研鑽の場を提供していきたいと思います。