“静岡DWAT”とは、災害発生後、被災した市町から静岡県に派遣要請があると、5名程度のチームを編成して被災地へ出向く、静岡県災害派遣福祉チームです。チームは、社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員をリーダーに、保育士や精神保健福祉士、生活相談員、介護職員等で、所定の研修を終了した者で編成されます。1チームの活動期間は原則5日間で、全体では1ヶ月程度です。災害関連死を防ぐために、ニーズの把握や避難所等の環境整備、移送支援等、医療職とも連携しながら活動をしています。

令和3年7月3日に起きた熱海市伊豆山地区の土砂災害の際は、7月5日に熱海市(健康づくり課)から派遣要請があり、7月6日から8月31日まで“静岡DWAT”としての支援を行いました。派遣人数は、53名(延べ215名)でした。

保健師やDMAT(災害派遣医療チーム)、DWAT、リハビリ関係団体等と連携し支援を行うため、朝夕のミーティングで連絡調整を行いました。

住民の方々が避難をされている部屋には、保健師と共に向かい「眠れているのか」「御飯は食べられているのか」など体調確認を行いました。平時には血圧に異常がなくても、避難所ではストレスなどから高血圧になる場合もあります。そういった場合は医療職につないでいきます。

避難所(ホテル)での生活は今までと違うので、立ち上がり等不自由になることも多いです。JRAT(災害リハビリテーションチーム)が動作の確認をし、畳の部屋にダンボールベッドを設置したり、深い浴槽にシャワーチェアーを用意したり、杖等の福祉用具を導入するため、ケアマネジャーと調整をしたりしました。

日中避難所にいる高齢者の方々から「身体を動かす場面がない」との声があり、活動の場を作り体操支援を行いました。「パジャマを着替えるきっかけになった」「何もすることがないので1日のリズムができて良い」との声がありました。

熱海市から要請があり、避難所(ホテル)の変更に伴い介護タクシーへの乗降支援を行いました。相談所については、災害支援ナースが健康相談、ケアマネジャーが介護相談を行っていましたが、8月1日よりそれを引き継ぐ形で「福祉なんでも相談」を開設しました。制度利用や家の片付け、今後の住まいに関することなど多岐にわたる相談に対応しました。

昨年度より「医療・保健・福祉分野における災害支援団体連絡会」を開催しています。災害時、様々な団体が様々な支援を行っていく中では、常日頃からの連携体制が大切なことが分かりました。(2021年11月掲載)